JAしまね日和 店舗改修「ヒワココ」

 

 

「街の小さな交流拠点」

島根県邑南町日和地区に位置する地域で唯一の日用品・日用雑貨を取り扱うJAしまね日和店舗の改修プロジェクトです。

店舗の売り上げ促進のためのイートインスペースと共に、展示やイベント等様々な形で日和の魅力を発信できる都市交流拠点としての場づくりが求められました。

改修前の建物は、地理的に地域の中心に位置しながらも周辺に対して閉じた印象が強く、内部に関しても整然と商品が陳列された無機質な空間でした。そこで、改修プランでは陳列棚の配置を調整して前面道路側にスペースを確保し、そこへ周囲に対して開かれた人々を優しく迎え入れる門のような架構を挿入する計画としました。

架構は全て105角の杉の柱材のみを用いてルーバー状に構成し、以下の条件に適うようにモックアップを用いて細部に渡り検討を重ねながらピッチを決定しました。

・全ての柱梁を同一の納まりとする事で施工精度の安定化、施工の簡便化、工期の短縮を図る

・見る角度によって視線の抜けが変化するため、限られた空間の中で多様な表情を創りだす

・各種器具(照明、カーテンレール、棚受けレール、展示用のピクチャーレール)を全てルーバー間に納めて架構を抽象化する事で、内部での活動を際立たせる

・セキュリティ対策としてレジカウンターからの見通しを確保する

また、それぞれの柱と梁はレジカウンター側を除いて同材種の小さな材を間に挟むことで、材同士を繋げる役割と共に工事の際には既存建物の不陸や歪みを吸収します。

1本1本の柱が集まって互いに支え合い、繋がる事で強固となる構成は木材の特性を活かした柔軟な構造体であり、世代間を超えて1人1人が支え合うという日和の地域性そのものを現した象徴的な空間でもあります。

初めてこの地を訪れる人には日和の玄関口として。住民の方々にとっては憩いの場であると共にこの土地の魅力を再発見できる場となっていく事を期待しています。

設計      : 2018.5 ~2019.1
工事期間   :2018.1~2019.4
種別      : 店舗・交流拠点施設、改修
敷地      : 島根県邑南町日和
延床面積   :17.70㎡
構造形式、階数:鉄骨造、地上1階
グラフィックデザイン&家具:長十郎
写真     :濱田慎太建築事務所