足利市の住宅

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「大屋根が紡ぐ3世代家族のための住宅」

栃木県足利市の3世代8人家族のための住宅プロジェクトです。

敷地は関東近郊の農業が盛んな地域に位置し、東側には田園風景、南側には豊かな樹木をたたえる古墳、西側には住宅地、北側には果物の樹や竹林と多様な環境に囲まれた場所です。

クライアントの要望である自然豊かな周辺環境を謳歌できる事、1つ屋根の下で趣向や生活スタイルが異なる3世代8人の住まい手が豊かに過ごせる場所でありながらも今後変化していく家族形態に柔軟に対応するためにはどのような建築がふさわしいかを考えながら設計を進めました。

 まず、南北に細長い敷地の中央に必要諸室を満たすコンパクトな正方形の建物を配し、南北に将来工事予定のプライベートなウチニワと農機具置場や駐車スペースを兼ねた外に開いたソトニワの2つのスペースをつくります。

 次にキッチン・浴室・洗面脱衣・トイレ・空調・玄関等をまとめた設備・構造上のコアを建物の4方向に配置し、それらのコアの間を埋めるように同じ大きさの4つの個室を設け、コアと個室群で囲まれた中央の空間を家族が集まるリビング・ダイニングスペースとしました。

そこへ、雨風を凌ぎこの地域特有の夏の強い日差しを遮る軒の深いおおきな屋根をかけ、リビング・ダイニングに敷地南側の豊かな自然を取り込みつつも採光を確保するために南東に向けて屋根が大きく口を開いたような三角形の開口を設けました。

 コアとなるボリュームで2方を囲まれたそれぞれの個室からは、深い軒を通して豊かな周辺環境を室内に取り込み、4方向それぞれ違った風景を享受できます。

また、袖壁のない水平の開口部によって外部と内部の境界を曖昧にすると共に、内外の天井材を針葉樹合板の同材で統一する事で、視線は内部から外部へと引き延ばされて実際の室内面積以上の視覚的な広がりをもたらします。

 各個室とリビング・ダイニングを区切る建具は引き込み戸とする事で、閉じた状態では外に開いたプライベートな空間として、全開すれば広場のようなリビング・ダイニングと繋がる一体空間となるため、生活スタイルの異なる3世帯の住まい手の様々な要求や家族構成の変化に合わせて柔軟に対応できます。

 建物を囲う方向性を限定しない楕円形の外構は、それぞれのコアに対応してアプローチ・勝手口・物干しテラス等となるコンクリート仕上げと、各個室の周りには照り返しによる採光の確保・防犯と雨落ち対策を兼ねた砕石で設え、将来的な外構の拡張性にも配慮しました。

 おおらかな屋根の下、この建築が田畑を耕すように住まい手の営みや生活の機微と呼応しながら成長し、世代を超えて生活に豊かな実りをもたらしてくれることを期待しています。

設計・監理:濱田 慎太+塚越 祐介/株式会社 濱田慎太建築事務所
施工:有限会社 岡村建業 
構造:須藤正尊一級建築士事務所
写真:鈴木研一写真事務所
敷地:栃木県足利市
種別:専用住宅
敷地面積:1298.53㎡
延床面積:116.7㎡
構造形式:木造/地上1階
設計:2018.01~2019.11
工事:2019.12~2020.10